大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和35年(ワ)10751号 決定

決定

原告

別紙原告目録のとおり

東京都港区葵町二番地

被告

日本電信電話公社

右代表者総裁

大 橋 八 郎

東京都千代田区神田駿河台三丁目六番地全電通労働会館内

参加申出人

全国電気通信労働組合

右代表者中央執行委員長

片 平 久 雄

右訴訟代理人弁護士

小 林 直 人

比志島龍蔵

内 藤 義 憲

右参加申出人が右原、被告間の昭和三五年(ワ)第一〇七五一号未払賃金履行請求事件につき原告らを補助するためにした参加申出に対し、被告が異議を述べたので当裁判所は次のとおり決定する。

主文

本件参加申出を許さない。

理由

本件参加の理由は、参加申出人は原告らを含む被告の職員をもつて組織する労働組合であるが、その組合員のうちに原告らと同様の原因で被告から昇給延伸処分をうけ昇給額の支給をうけていないものが多数あるので、現に右処分を被告との間において団体交渉の問題としている次第であつて、本件訴訟の結果につき重大な利害関係を有するものであるから、原告らを補助するために参加に及ぶというにある。

しかしながら、本件訴状によれば、その請求の概要は、被告は参加申出人との間に昭和二九年一〇月四日締結した「昭和二十九年九月三十日以降の日本電信電話公社職員の賃金体系に関する協定」にもとづき、昭和三五年七月一日を以て当然定期昇給に浴すべき原告らに対し昇給延伸処分を行い、同月以降においても従前の額の賃金しか支払つていないが、右処分は無効であつて、昇給額を支給すべき義務があるものであるから、原告らは被告に対し同年七月から同年九月までの昇給額と現実の支給額との差額の支払いを求める、というにあるのであるから、仮に参加申出人が前掲参加の理由にいうような立場にあつたとしても、それだけでは右訴訟の勝敗によりその法律上の地位に影響があるものとは解し難い。すなわち参加申出人は民事訴訟法第六四条にいわゆる「訴訟結果ニ付利害関係ヲ有スル第三者」にあたるものとはいえないから、同法第六六条により主文のとおり決定する。

昭和三十六年二月二十八日

東京地方裁判所民事第一九部

裁判長裁判官 駒田 駿太郎

裁判官 西 山 俊 彦

裁判官 北 川 弘 治

原告目録(省略)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例